離婚・別居・移住…50代男性が迷うときに必要な心の整理と「卒啄同時」の禅の知恵

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50代男性の離婚に寄り添う。人生の転機を「心の再出発」に変えるために

最近、「離婚することになりました」「今、別居中です」といったご相談を、50代の男性から続けて受けています。

50代といえば、役職定年や定年退職が見え始める時期。人生の終盤がうっすら見え始め、どこか“カウントダウン”のような感覚を抱く方も少なくありません。

そんな中、「子どもが独立したタイミングで妻から離婚を告げられた」という話を、何人もの方から伺いました。

離婚と同時に訪れる、住まいと心の“移住”

最近の「離婚する事になった」と相談を受けた方に共通していたのが、離婚をきっかけに、家を出て新たな住まいを探す中で、「どうせなら遠くに移住しようかと思っている」ということでした。

けれども、対話を重ねるうちに、本当に望んでいるのは“遠くの土地”ではなく、“今の自分から抜け出すきっかけ”であることが見えてくることも多いのです。

私の役割は「未来をともに見つめる伴走者」

私はカウンセラーや弁護士ではありません。なので、法的なアドバイスや心理カウンセリングを行うことはありません。

けれども、人生の転機に立つ方の、今のご状況を丁寧に伺いながら、「本当はどうしたいのか」「これからどのように生きていきたいのか」といった未来のあり方をご一緒に考えていきます。

とても大切な「これからどう生きていきたいのか」を整理していくための、静かな対話の時間を提供しています。

これまで長年にわたって、お仕事に一生懸命に取り組んでこられたその歩みを丁寧に受けとめながら、これからは「自分自身の幸せとは何か」「次のステージで本当にやりたいことは何か」といった問いを深めつつ、その想いをお聞きし、ご自身にとっての望ましい未来のかたちを一緒に描いていきます。

ようやく立ち止まって、「自分自身の幸せ」や「本当はどう生きたかったのか」を見つめ直すタイミングが、今なのかもしれません。

本音を話せる相手がいない──そんなとき、必要なのは第三者の対話

「何がしたいか分からない」「誰にも相談できない」

そんな声を受けとめながら、丁寧に話を聞く中で、絡まっていた思考や感情が少しずつほどけていきます。

「本当はこうしたかったんだ」

そんな“自分の声”が、言葉になる瞬間があります。

そのとき初めて、自分の人生を“自分の手”で選び直すことができるのです。

禅の言葉「卒啄同時」に学ぶ、転機の支え方

禅に「卒啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。

・卒(そつ)…ひなが殻の内側からつつく
・啄(たく)…親鳥が外側からつつく

内と外、どちらかが早すぎても遅すぎても、ひなは無事に生まれることができません。この「卒」と「啄」がぴたりと合わさった瞬間に、命が外の世界へと羽ばたくのです。

この言葉は、師弟関係や親子関係など、学びや成長を支える関係を表す際によく使われますが、私は、自分の殻を破ろうとする人に寄り添い、必要なときにそっと手を差し伸べる存在の大切さを教えてくれているようにも感じます。

内側から破ろうとするタイミングと、外側から手を差し伸べるタイミングがぴたりと合ったとき、命は生まれる──そんな深い教えです。

「しんどい」を口にすることから、人生は変わりはじめる

とくに昭和世代、50代男性は、ずっと「人に弱音を吐かないことが美徳」と教えられてきた世代。

自分をよく知る相手にこそ話しにくい…そんなお気持ちを抱かれている方もいらっしゃるかもしれません。

けれども今、「一人で抱え込まない力」が、次の人生の扉を開く鍵になると感じています。

・しんどいときは、言葉にしてみること
・話せる相手がいなければ、専門家の力を借りてみること

たとえば、法的なことを整理したいのか、心のストレスを和らげたいのか、まずは誰かに話を聴いてほしいのか――ご自身の状態に合わせて、適切な相談先を選ぶことが大切です。

どうかご自身のために、安心して言葉を交わせる場所を見つけてください。ご自身の本来の力に出会う、その道のりをそっと応援しています。

今日も、心穏やかに過ごせますように。

※この記事は、noteにて先行公開した内容を加筆・再構成したものです。
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