ほぼ毎朝、円覚寺の横田管長の音声配信【毎日の管長日記と呼吸瞑想】を聞くことが、ここ数年の習慣になっています。音声配信なので、映像に集中する必要はなく、私は、朝の準備をしながら聞いている、ながら聞きです。
横田管長の毎日のお話と共に、最後に座禅の時間があるので、横田管長と(勝手に)一緒に座禅してから、出勤する感じです。
それが、朝出勤前のバタバタした心を調えるための貴重な時間となっています。
静かな時間の中で、心を整え、一日の始まりを迎えることができる。この習慣が、日々の忙しさの中で忘れがちな大切なことを思い出させてくれます。
「管長日記」は毎日配信されているのですが、必ず毎日聴くことはしていません。もし、聞けなかった日があっても自己嫌悪に陥らないように、自分に言い聞かせているからこそ、無理なく習慣化することができています。大切なのは、心の調整をする時間を作ることであり、それが毎日の習慣として無理なく続けられることが何よりも大事だと思っています。

2025.04.07 「新年度の第一歩」からのメモ
この日の配信では、花園大学の入学式でのお話でした、
「これから大学で学ぶんだという意欲、大学生活でどんなことが起きるだろうかというワクワクした気持ち、この気持ちを忘れないでほしいと願います。」
「ところが、残念ながら、長く学生生活を送るうちには、今の新鮮な気持ちは薄らいでゆきます。
立ち上がるのがおっくうになってきます。
いやひょっとしたら、立ち上がろうにも立ち上がる気力がなくなるようなときもあるかもしれません。これもまた人生です。」
とおっしゃっています。
これは、「社会生活を送るうちに」とも言えます。
初心や熱意は、日々の忙しさや疲れにより、知らず知らずに薄れてしまうものです。立ち上がる気力をなくしてしまうこともある。これもまた人生。熱いお湯も、冷めていくように、つまり、そうなっていくもの、それが自然だという事だと思います。
自立性=一人で生きることではない。
「そんなときには、一人で悩まずに、いろんな人の力をお借りしてください。支えになってもらってください。自立性といいますが、これは誰の世話にもならず一人生きることではありません。多くの人の力をいただきながら、そのおかげに感謝して生きることであります。」
と、横田管長の言葉は続きます。
現代社会では「自立」や「自己責任」「自分で考えろ」といった、自という言葉が多く使われますが、それは必ずしも一人で全てを背負うことを意味するわけではないのだと思います。
大切なのは、他者と支え合い、共に歩むことの価値です。孤独を感じたときに、自分一人で解決しようとするのではなく、周りの力を借りることが本当の意味での自立なのだと思います。
私は現在、相談員として、さまざまな悩みを抱えた方々と向き合っています。キャリアや人間関係、今後の生き方など、意外と多くの方が「どうすればいいのか分からない」と感じていることが多いです。
人生には迷いがつきものです。
誰か一人でも、あなたのことを応援してくれる存在がいれば、心強いのではないかと思い、相談者に寄り添うチアリーダーのつもりで、相談対応をさせていただいています。そうすれば、逃げ場を失ったり、孤独感を感じなくて済むのではないかと思っているからです。
禅の教えは大きな力を与えてくれる

横田管長のお話で最後に、以下の言葉で新入生に対する言葉を締めくくられています。
「自分が安心して自分のままでいられる時間と場所を確保してください。人が生きるには多くの人の力や支えと、その時間と場所が必要です。自分が自分のままで安心していられる時間と場所を大事にしてください。その自分が安心していられる時間と場所を提供してくれるのが、実は坐禅です。坐禅はこのありのままの自分をそのまま受け入れる時間と場所を与えてくれるものです。禅の教えは、文学や歴史、福祉、心理、どんな学問をなさろうとも、皆さんにきっと大きな力を与えてくれるものと信じています。」
日々忙しく過ごしていると、つい忘れてしまうことも多いですが、少し立ち止まって自分と向き合うことで、日常の中で失われがちな平穏を取り戻すことができます。私自身、仏教の真理というもの、禅の教えに触れ、物事の見方が変わりました。座禅を通じて、自分の心を調えることができ、少しずつですが、心の中に調和を感じることができるようになりました。
もし、あなたが今、心の中で揺れ動いていると感じているなら、まずは自分が安心できる時間と場所を提供してくれる坐禅から、始めてみてはいかがでしょうか。
必要な時は、ちょっとだけ誰かに頼ってみる。他の人が誰かを必要としていたら、そっと寄り添ってあげる。そんな風に支え合いながら、共に歩んでいくことの大切さを改めて教えて頂いたお話でした。
今日も、心穏やかに過ごせますように。
※この記事は、noteにて先行公開した内容を加筆・再構成したものです。
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